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国民年金法の沿革と制度の目的・被保険者~会社員も国民年金払ってるよ~

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私が社会保険の勉強を始めたころ、「会社員も厚生年金だけでなく国民年金払ってるよね」と言われ「????」となったことがありました。

国民年金は、全国民共通の基礎年金となるので、学生も私のような自営業者、サラリーマンや専業主婦、そして公務員と外国人などすべての人が加入するものです。

 

今回は、日本国民誰もにかかわる国民年金法の沿革や、この法律の目的、被保険者の条件についてまとめます。

 

国民年金法の給付については細かいので1個ずつゆっくり書いていきます~!

 

国民年金法の2つのターニングポイント

国民年金や厚生年金、公務員向けに運営されていた共済年金などをあわせて公的年金と呼びます。

公的年金の制度は何度か変革を遂げていますが、次の2点が公的年金制度の大きなターニングポイントとなっています。

 

昭和36年4月1日【国民皆年金の実現】

昭和36年は西暦1961年、この年の4月1日に、自営業者等も公的年金の対象となったことで、全国民が何かしらの年金加入をしている状態=国民皆年金が実現しました。

(どうでもいいですが私は平成元年生まれなので、どうしても大正や昭和~年と言われても、ぐぐらないと西暦がパッと思い浮かびません…)

 

②昭和61年4月1日【2階建て年金への再編】

昭和61年(1986年)4月1日までは、職業別に別々の年金制度が運営されていました。しかし、昭和61年4月1日以降は、旧法から新法へと変革を遂げ、国民年金が全国民の共通基礎年金として統一されたのです。

 

具体的には、会社員等の厚生年金と船員向けの船員保険が統合。

公務員向けの共済年金は、国民年金の2階建て部分として扱いが変更。

尚、この共済年金平成27年10月より厚生年金に統合となります。

 

図にすると、このような感じです。

 

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この図を見て分かるように、会社員の皆さんも国民年金を支払っているということです。国民年金は自営業や主婦のもので、サラリーマンは厚生年金だけだ!というのは間違いなので覚えておきましょう。

 

国民年金制度の目的や種類

国民年金は老後の資金を蓄えることが目的、と考える方も多いと思います。

しかし、国民年金制度の給付には、老後に支給される老齢基礎年金だけでなく、障害になったときや死亡時にもらえる給付なども存在します。

 

尚、国民年金制度の基本理念は「国民の共同連携により、全国民で保険料を負担していない者に対しても福祉的に給付を行う」という意味が含まれています。

 

代表的な給付について
  1. 老齢基礎年金、付加年金
  2. 障害基礎年金
  3. 遺族基礎年金、寡婦年金、志望一時金

老齢、障害、遺族といった3種類の事故に対して国民年金から給付がされます。

これらの給付は、労災保険のように業務上か業務外の事故か?ということを問われません。

 

ここからはさらっと、被保険者の3タイプについておさらいしておきましょう。

 

第1号被保険者

自営業者や学生がメインとなります。

★要件…日本国内に居住する20歳以上60歳未満の者で、第2第3号被保険者の要件に該当しないひと

★適用除外…厚生年金保険法に基づく老齢給付等の受給権があるひと

 

第2号被保険者

会社員や公務員がメインとなります。

★要件…厚生年金保険の被保険者

★適用除外…65歳以上で老齢給付等の受給権のあるひと

 

第3号被保険者

専業主婦・主夫などがメインです。

★要件…第2号被保険者の配偶者であり、主として第2号の収入によって生計維持をしているひと(つまり被扶養配偶者のひと。)かつ、20歳以上60歳未満のひと。

 

基本的には、第1号~第3号の3つに被保険者が分類されるんだなと、おさえておけば問題ないです。

上記分類に関して、国内居住の有無や、厚生労働大臣に申し出ることで被保険者になれる任意加入被保険者などもありますが、一気に説明するとややこしいのでここまでにします。

 

国民年金は満額で月65141円!

年金額は、国内の物価水準や賃金水準の変動で毎年度改定があります。

令和2年度は、国民年金の満額が65,141円(月額)となりました。

 

年間に計算すると、781,692円です。

 

なお、令和2年度に皆さんが支払っている国民年金保険料は16,540円です。(前年よりプラス130円)

 

※参考 厚生労働省プレスリリース

https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000588114.pdf

 

※参考 日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200401.html