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育児休業の超基礎知識~いつどんな休業・休暇がとれるのか~

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先日、男性の育休義務化に反対する中小企業が7割いることが非常に話題になっていました。男性の育児休業に関してさまざまな意見がありますが、そもそも育児休業制度の基礎的なルールをご存じでない方が多いのではないでしょうか。

 

まだ学生で就職はこれからの若い世代、結婚はしてるけどまだ子どもは先だと考えている方に対して、まずは日本の育児休業制度についてポイントだけおさえられるように記事にまとめてみました。

 

 

 

育児休業制度とは

育児休業制度とは、子育て(家庭生活)と仕事を両立するために設けられた制度です。会社に雇用されている人向けの制度になるため、私のような個人事業主には適用されません。

 

お子さん1人に対して、どのような種類の休業or休暇を、いつまで取得できるのか?をおさえていきましょう。

 

育児休業

育児休業とは、労働者が子どもを養育するための休業で、取得する対象は男女を問いません。(日雇いで働く人は除かれます)

ここでの休業とは、労働の提供義務がなくなることを指します。つまり休業期間中は、事業主の賃金支払い義務も消滅します。

 

★POINT

育児休業中は原則として、事業主からお給料は支払われません。

「え、でも育休中にお金もらえるって聞いたけど…」という方がいらっしゃいますが、育休中に振り込まれるお金は、会社経由で加入している雇用保険から支払われる給付金です。(私も昔は知らなかったのです)

 

育児休業は、子どもが1歳になるまでは事業主に「休みます」と申し出すれば取得できます。ただし、保育園が見つからず子どもの預け先がない場合は、育児休業を1歳6か月まで延長できます。子どもが1歳6か月に達した後も、まだ預け先がなく働ける状態ではない…という場合は最大で2歳まで延長される仕組みです。

 

 

男性の育児休業取得率が低いので新設された「パパママ育休プラス」

先にご説明した通り、育児休業は男女問わず取得ができます。しかし日本の男性育児休業の取得率は7.48%。令和元年は6.16%だったそうで、この数値は7年間連続で上昇しています。

 

参照:厚生労働省『男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について』

 

これを見かねた政府が、せめてお母さんが大変な産後直後と復職前後の時期だけでも、どうにか男性に休んでもらえないかと考え作ったのが「パパママ育休プラス制度」です。

端的にご説明すると、産前直後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、特別な事情がなくても2回目の育児休業も取得できるという制度です。

 

2回目の男性の育児休業取得は、原則子どもが1歳までの休業可能期間を超えて、子どもが1歳2か月に達するまでに取得します。基本的に女性は子どもが1歳になるタイミングで復職をするので、母親が復職した直後の2か月間は大変だから父親も休んでね、という意味が込められています。

 

厚生労働省の資料はとっても見辛いものが多いですが、普段このような資料を見慣れていない方でも比較的見やすい資料を探しました。

★こちら→パパママ育休プラス制度の図解資料

 

 

育児休業をまったく取ってくれない男性のために用意されたさまざまな休暇制度

育児休業、パパママ育休プラス制度を作っても、どうしても仕事は休めないという男性が多いため、さまざまな打開策が打ち出されています。

 

その1:育休を取得すると給料出ないし仕事が回らなくて困る→所定労働時間の短縮措置

育児休業をがっつりとると、もう会社に迷惑かかるし収入減ると困るので…という方のための救済措置として、いわゆる時短制度が用意されています。

子どもが3歳までは、1日の所定労働を6時間以下にすることができる制度です。

 

その2:時短でも給料減るから困るので残業だけ減らしたい→所定外労働の制限

せっかく時短制度があるけれど、時短になるとお給料がやっぱり減ってしまうので困る!という方のために、せめて残業は減らしませんか?と創設されたのが所定外労働の制限制度です。こちらも子どもが3歳になるまで取得できます。

 

 

その3:ちょっとくらい残業はするけど長時間残業と深夜業だけ避けたい→時間外労働・深夜業の制限

時短もとれない、多少の残業はどうしてもやりたい。でも月45時間、60時間と永遠に残業するのはさすがに厳しいという方のために、長時間労働や深夜の仕事を避けるための制限が設けられています。こちらは子どもが小学校にあがるまで利用できます。

 

最終手段の努力義務「育児目的休暇制度」とは

ここまで、さまざまな休業や時間外労働を避ける仕組みをご紹介してきました。繰り返しになりますが、これだけ制度があっても日本の男性育休取得率は10%に届きません。

 

そこで、休業ではなく短い休暇なら取ってくれるのでは…?と、悩みながら打ち出したのが育児目的休暇制度の導入(努力義務)です。

 

まとまった休業はとれなくても、出産時の配偶者への立ち合いや、可愛い子どもの入園式・卒園式は休みましょうと、育児を目的とした休暇を取得して下さいねと促す制度です。

※個人的には努力義務ではなく、義務で良いのではと思いますが…

 

 

子の看護休暇について

最後に、子の看護休暇についてご紹介します。

子どもがインフルエンザにかかったため1週間ほど短期間の休みを取得したい、という要望にこたえるために作られた制度です。子の看護休暇は、子どもが小学校にあがるまで利用することができます。

 

取得日数は年度ごとに発生し、1年で5労働日。子どもが2人だと10労働日、3人も10労働日までです。丸1日休暇をとらなくても、予防接種のために半日だけ休暇取得をする、というのも可能です。

 

男女平等に子育て参画ができる社会を目指して

今回は、日本の育児休業制度を知らない方のために、かなり嚙み砕いて基礎的なルールをご紹介しました。非常にたくさんの休業・休暇制度が存在することを知り、驚かれた方もいるのではないでしょうか。

 

制度を活用する人が増えるには、制度の概要を皆さんに知ってもらうことが重要だと考えています。

 

働く女性(ママ)の現状について、もう少し知見を深めたい方は次の記事も呼んでみて下さい。(先日、執筆した新しい記事です)

 

 

ママ向けQ&Aアプリ「ママリ」およびママを応援する求人サイト「ママRework」を運営するコネヒト株式会社の北吉さん、働くママ・起業家である株式会社アイスタイルの山田さん、株式会社ネオキャリア代表の西澤さんによる共同セミナーのレポートです。

 

近年の女性採用市場の動き、ママや企業に実施したアンケートや、働くママの実体験を紹介しています。

 

 

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