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採用広報とは?採用広報が必要な理由と代表的な手法・ツールを紹介

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採用広報は、人事や広報職の業務内容のひとつとして認知・定着してきました。最近では採用広報業務に特化した「採用広報職」の求人募集を行う企業も出てきています。

本記事では、改めて採用広報の定義や役割をご説明するとともに、最近の採用広報トレンドや今すぐ使える採用広報の手法を解説します。

 

採用広報とは

採用広報とは、企業が採用活動を通してアプローチしたい候補者(就職者・転職者)に対して、会社の成り立ちや理念、事業内容や社風について、さまざまな情報発信を行いコミュニケーションをとる一連の活動を指します。

明確に定義が定められているわけではありませんが、一般社団法人日本経済団体連合会(通称:経団連)の資料によると、新卒の採用活動に関する広報活動は以下のように述べられています。

 

広報活動について

企業が行う採用選考活動は、一般に広報活動と選考活動に大別することができる。(中略)広報活動とは、採用を目的として、業界情報、企業情報などを学生に対して広く発信していく活動を指す。本来、こうした情報は可能な限り速やかに、適切な方法により提供していくことが、ミスマッチによる早期離職の防止のために望ましいものである。しかし、早期化ゆえの長期化の問題に鑑み、開始時期以前においては、不特定多数向けの情報発信以外の広報活動を自粛する。広報活動の実施に際して留意すべきことは、それが実質的な選考とならないものとすることである。また、会社説明会などのように、選考活動と異なり学生が自主的に参加または不参加を決定することができるイベントなどの実施にあたっては、その後の選考活動に影響しない旨を明示するとともに、土日・祝日や平日の夕方開催に努めるなど、学事日程に十分配慮する。

(引用:一般社団法人 日本経済団体連合会「採用選考に関する指針」の手引き

 

上記の資料から、採用広報に関して次のことが読み取れます。

 

  • 採用活動とは広報活動と選考活動に大別できること
  • 採用に関する広報活動とは、採用を目的として業界や企業情報を学生(または転職者)に広く発信していく活動
  • 採用広報の情報はミスマッチによる早期離職防止にも役立つ
  • 新卒に限り、採用広報の場で選考活動は行わないよう留意する

 

採用広報は、企業の人材獲得を目的とした広報活動全般を指し、採用広報活動を行うことで企業や業界理解を促しとともに、労使の採用ミスマッチを防ぐ効果があるとされています。

また、中途採用の場合は、採用広報イベントで集客・リーチした候補者をイベント中に選考につなげることも可能であり、複数の採用広報施策を打つことで採用募集団を獲得することが期待できます。

 

採用広報が定着した背景

採用広報というキーワードが広く認知された背景としては、まず人手不足が挙げられます。

 

従来の日本の採用市場は、求人広告と有料職業紹介で成り立っていました。労働人口の減少・少子高齢化が進み、求人数が求職者の数を上回った状態(売り手市場)がへと採用市場が大きく変化してきました。

その変化の中で、求職者よりも求人数が多いため、求人広告に募集を掲載しても他社求人の中に埋もれてしまいがちになり、今までのように求人広告を掲載するだけでは応募獲得が難しくなってしまいました。

求人広告で情報を見つけてもらえなければ、そもそも求職者が「応募するか検討する」という土俵にさえ乗りません。

そのため、人材紹介や、能動的なダイレクトスカウトに加え、SNSの活用やオウンドメディアのコンテンツ強化など「採用のための広報活動」に力を入れていこうと舵を切る企業が増加したのです。

 

代表的な採用広報の手法と利用ツール

代表的な採用広報の手法と利用しやすい代表的なツールを確認しましょう。

 

1.SNS

TwitterFacebookInstagramYouTube、noteなどのSNSを活用し、記事や画像、動画を通して業界特性や企業情報を伝える採用広報の方法です。

もともとSNSは個人同士がインターネット上でコミュニケーションをとるために利用されてきましたが、新型コロナでテレワークが加速したタイミングで、企業のSNS参入も急増した印象があります。

 

試しにTwitterで「採用広報」と名前またはプロフィールに入れているアカウントの数を数えてみたところ175アカウントありました(2020年11月23日現在)。

ちなみに「人事」と記載のあるアカウントを数えてみたところ、500は超えていました(目視で数えていたところあまりにも多かったので途中で断念してしまいました…)。

 

なお、各SNSのユーザー数は以下の資料を参考にしてください。

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画像引用【2020年11月版】人気ソーシャルメディアのユーザー数まとめ|SNS運用のヒントが見つかるメディア We Love Social

 

2.ビジネスSNS

WantedlyやLinkedin、Youtrustなど、ビジネス使用目的のSNSを活用する方法です。

これらのビジネスSNSを利用するユーザーは、転職活動中の者も多く、転職・副業希望度や職務経歴などをプロフィール欄に登録しているケースが多い点が特徴です。そのため、転職顕在層にダイレクトにリーチしたい企業が利用する傾向があります。

 

ただし、Wantedlyのように月額利用料がかかるビジネスSNSもあるため、使用目的により媒体を使い分ける必要があります。

 

ビジネス系SNSの代表的なものは、下記サイトをそれぞれご確認ください。

 

Wantedly

ユーザー数:270万人

 

Youtrust

ユーザー数:2万人

YOUTRUSTは信頼できる友達もしくは「友達の友達」から
オファーが届き、副業・転職先と出会えるキャリアSNSです。

youtrust.jp

 

Linkedin(リンクトイン

ユーザー数:国内200万人

www.linkedin.com

 

CREEDO

ユーザー数:未発表、20代~30代中心

creedo.jp

 

3.オウンドメディアや自社ホームページのコンテンツ

外部のメディアやサービスを使わずに、自社でオウンドメディアを運用する、または自社ホームページ内で採用に関する広報活動を行う方法です。

 

外部メディア・サービスの利用は、一定数のユーザーがいるため即効性は期待できる一方、サービス利用料が発生したり、競合が多かったり、サービスごとのアルゴリズムに左右される点がデメリットとも言えます。

 一方、オウンドメディアや自社ホームページ内であれば、自社のドメインパワーを利用しながら、自由度高く広報活動が可能です。

 

ただし、サイト全体のSEO最適化、コンテンツの質が非常に重要となるため、Webマーケティングの知識は一定必要となるため注意しましょう。

 

4.イベント

コロナウイルスの影響で、オフラインイベントの施策は難しくなったものの、Zoomやインスタライブなどのオンラインイベントが活発化しました。

オンラインイベントには、事前に予約制のWebinar形式、予約不要でライブ配信できるインスタライブやYouTubeのライブ、17Liveなどの種類があります。

どの手法も、企業の人事1名に対して、参加者(視聴者)数百名でも成り立つため、1度にたくさんの求職者にリーチできる点が魅力です。

 

イベント型の採用広報施策のポイントは以下の通りです。

  • ただ一方的に配信するのではなく求職者の名前や勤め先など、何かしらのデータ取得をしておくこと…データ蓄積することで参加者属性の分析、次回の企画案の材料となり、独自のタレントプールが作れる
  • 視聴者参加型のコンテンツを意識する…一方的なトークイベントで1時間以上、ユーザーを飽きさせないことは難しい。質問コーナーや、視聴者プレゼントなど、参加者巻き込み型で施策を検討したい
  • 共感と拡散を意識する…イベントを企画するのはとても労力がかかること、1回のイベント内容をいかに拡散させるか(バズらせるか)がキーポイントとなる。次回私も参加したい!と連鎖反応を生ませるために、参加者に共感を呼び、SNSで拡散したくなる仕組みを導入するのがポイント

 

採用広報を進める手順とポイント

ここからは、採用広報の進め方をご紹介します。

①採用課題の特定、自社の採用計画の確認

採用広報は、採用活動の中の1つの手段でしかありません。

まず初めに、自社の採用目的と採用ターゲット、採用納期や人数、過去の採用活動を考察しながら自社の採用課題は何か整理することが重要です。

 

たとえば、「母集団の獲得や内定獲得数は目標通り達成していて、入社後ミスマッチでの早期離職が多い」というのが採用課題であれば、第一優先で取り組むのはオンボーディング施策でしょう。

自社の目標や現状をまとめたうえで、今、採用広報に取り組むべきなのか?ということを、しっかり吟味しましょう。

 

②採用ターゲットの選定とPRすべき情報の整理

自社の採用活動の中で、なぜ採用広報を進めなくてはならないのか?採用広報を強化することで、採用活動の何を解決・改善するのか目的を定めたら、続いて採用ターゲットを整理します。

また、選定した採用ターゲットに対して、どのような情報をPRしていくか、広報の切り口はどのようにするか細かく決定していきましょう。

 

たとえば、採用ターゲットが「業界未経験・職種未経験の人材」であれば、自社の業界や職種(どのような仕事を行うのか)に関する情報を、広く伝えて興味付けを行う必要があります。

一方、業界経験者を狙う場合は、もう1歩先の情報(競合と比較して自社のどの点が優れているのか、キャリアアップのしかたや待遇、将来性など)を伝えていくのが良いでしょう。

 

このように、採用ターゲットによって採用広報を通して伝えるべき情報やその情報の魅せ方は異なるため、しっかり計画を立てることが重要です。

意外にも多くの企業が「とりあえずSNS使って自社の情報を発信して」くらいの浅い取り決めしか行っていないのが現状です。

 

③採用広報を手段・ツール・メディアの選定

自社の採用計画と課題の洗い出し、採用目的の決定とターゲット、その採用ターゲットにどのような情報をどんな切り口で伝えるのか。欲を言えば、採用広報の目的を測定可能な数値目標(KPI)で定めたうえで、採用広報の手段やツール選定を行うのが理想的です。

ここまでの①~③をあやふやにしたまま、「とりあえず無料だからフェイスブックTwitterで採用広報やっておいて」と意思決定するのは浅はかすぎます。

人事、採用広報の担当者の業務は多岐に渡るので、当たり前ながら事前準備と優先順位を綿密に行ってから、採用広報の手法を決定していくと良いでしょう。

 

まとめ

今回は、採用広報の基本的な知識と代表的な手法やツールをご紹介しました。

これから採用広報に取り組みたい方、また現在の採用広報活動を見直したい方の参考になれば幸いです。

 

なお、HRドクターでは、採用活動全般、また採用広報での記事づくりへのご相談も随時受け付けています。

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