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健康保険の被保険者の要件と適用除外者について

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会社員が加入する健康保険について、前回は健康保険法のあらましや適用事業所の要件をまとめました。

 

続いて今回は、健康保険法の被保険者の要件について詳しく解説していきます。

 

健康保険の被保険者について

健康保険の強制適用事業所に使用されるものは、健康保険の被保険者となります。ここでの「使用」とは、労働保険での使用とは意味が異なり、「報酬支払の関係があるか」という視点で区別されます。

 

つまり、法人の代表者は法人から報酬を受け取る者のため、健康保険の被保険者となります。一方、労働保険では代表者は被保険者になりません。労働保険での使用者とは指揮命令される立場にあるかどうかという意味で区別するためです。

 

この使用という意味でとらえると、労働組合専従職員は労働組合に使用される者としてのみ被保険者になります。

※事業主は専従職員に報酬支払いをしない、労働組合から専従職員に報酬を支払う

 

短時間労働者の健康保険適用について

短時間労働者が健康保険の被保険者になるかどうかは、次の複数のポイントを確認する必要があります。

 

★1つ目:4分の3基準

短時間労働者の1週間の所定労働時間or1か月の所定労働日数が、同一の事業所に使用されている労働者の4分の3以上であれば、健康保険の被保険者となります。

 

★2つ目:4分の3未満の労働者、5つの確認項目

1週間の所定労働時間または1か月の所定労働日数が、同じ場所で働く労働者の4分の3未満であって、4分の3基準を満たさない場合は次の5つの項目を満たしているか確認をします。

 

  1. 500人以上の特定適用事業所かどうか
  2. 1週間の所定労働時間が20時間以上あるか
  3. 同一の事業所に1年以上使用される見込みがあるか
  4. 報酬月額が88,000以上であるか(最低賃金法で賃金に参入しない賞与や残業代、通勤手当はここから控除します)
  5. 学生等ではないか

4分の3基準に当てはまらなくても、上記5つのポイントを満たしていれば健康保険の被保険者となります。

 

特定適用事業所と特定労働者とは

特定適用事業所とは、事業主が同一(法人番号が同一)である事業所のうち特定労働者の総数が常時500人を超える事業所を指します。

特定労働者とは、70歳未満の者で適用除外事由のいずれにも該当せず、特定4分の3未満短時間労働者以外の者のことです。

 

500人以下の事業所は任意適用事業所として扱われることになりますが、過半数代表者か同意対象者が2分の1以上となり、労使が合意すれば健康保険の適用事業所となります。

 

被保険者の適用を除外される場合

健康保険の被保険者の適用を除外されるのは8パターンあります。

 

①臨時に使用される者…日雇いとして日々雇い入れられるor2か月以内の期間を定めて使用される者。

②季節的業務として4か月以内と決められた期間に使用される者…当初から4か月を超える予定があれば最初から被保険者扱いになるが、途中で4か月または6か月を超えることになっても被保険者にはならない。

③臨時的事業の事業所に使用される者…当初から6か月を超える予定があれば最初から被保険者になる。

船員保険の被保険者となる者

⑤所在地が一定の場所にない…サーカス団など

国民健康保険組合の事業所に使用される者

⑦75歳からの後期高齢者医療の被保険者

厚生労働大臣健康保険組合、共済組合の承認を受けて国民健康保険の被保険者になった者

 

健康保険の被保険者資格の取得と喪失日について

健康保険の被保険者資格は、健康保険の適用事業所に事実上使用されることが決まったその日に、資格取得とされます。

 

一方、被保険者資格を喪失するのは、資格喪失事由に該当した翌日となります。