雇用保険法は、労働者災害補償保険法と同じ労働保険のグループです。
まずは雇用保険の目的と、用語の解説を行います。
日本国憲法では勤労権の保障として次の2つの政策が義務化されています。
雇用保険法は、下記のように失業時の国民の生活保障をするものとして位置づけられています。
現在の雇用保険には、失業時の生活保障にとどまらず、在職者の雇用の安定に寄与する側面も盛り込まれました。また、失業者の就職を促進する役割もあります。
雇用保険の4つの役割(失業等給付)
- 失業したとき…求職者給付
- 雇用の継続が困難なとき…雇用継続給付
- 教育訓練を受けたとき…教育訓練給付
- 求職活動を支援するとき…就職促進給付
雇用保険の適用事業
労働者を雇用する事業は、国や都道府県、市町村も含めて強制適用事業となります。
一方、暫定任意適用事業は基本的に労災保険と同様の農業・水産業・林業の事業者のうち、常時5人以上の労働者を雇用する事業以外の事業となります。
※暫定任意適用事業からは、国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業または法人である事業主の事業、船員が雇用される事業を除きます。
代表的な求職者給付(基本給付等)の支給の流れ
基本給付とは失業等給付の中の求職者給付にあたります。求職者給付(基本手当)とは労働者が失業した際に、生活保障として給付されるものです。
さらに、基本給付は被保険者ごとに給付の名称が分けられています。
一般の被保険者(受給資格者)には基本手当や、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当が支給される
高年齢被保険者(高年齢受給資格者)には高年齢求職者給付が支給される
短期雇用特例被保険者(特例受給資格者)には特例一時金が支給される
日雇労働被保険者(日雇労働資格者)には日雇労働求職者給付が支給される
これらの給付の要件である「失業」とはどのような状態を示すのでしょうか?
具体的には、被保険者が働く意思があるにもかかわらず(意思と能力がある)職業に就くことができない状態です。
産休や育休中、傷病のせいで働けない期間は「働く意思」はあるので失業とは呼ばないので注意しましょう。
単に仕事をしていない人が被保険者になるわけではなく、求職者給付の支給を受けるためには職業に就くように努力をする必要があるのです。
基本手当にかかわる用語
雇用保険の求職者給付(基本手当)の支給場面では、たくさんの専門用語が出てきます。
それぞれの言葉の意味を確認していきます。
被保険者期間…当該労働者が雇用保険・基本手当を受ける被保険者と認められるために必要な期間
算定対象期間…雇用保険の被保険者になるために必要な被保険者期間を数えるための対象となる期間。ここでは2年間の算定対象期間が必要になります。
受給期間…被保険者期間の算定対象期間を満たし、失業後に給付を受けることができる期間
求職の申し込み…受給期間中にハローワークに行って仕事を探している旨を申し出ること
待期期間…求職の申し込みをしてから本当に失業しているか確認される7日間のこと
給付制限期間…離職理由が自己都合退職のため待期期間が明けてからも給付がSTOPされる3か月間のこと
失業認定日…毎日ハローワークに行くのではなく4週に1回ハローワークに行く日のこと
失業の認定…失業認定日にハローワークの職員に「本当に失業していたか」確認をしてもらってから最大28日間分の給付をもらうこと
所定給付日数…基本手当の給付限度となる日数のこと(90日~360日分まで幅がある)
算定基礎期間…所定給付日数の決定要素となる過去働いていた期間を算定するための基礎となる期間
基本手当の受給要件や、給付を受けるまでの流れは記事の後編で説明していきます!
※なお、本メディアの労務記事の大半は資格の大原の「社労士24」と、『ユーキャンの社労士基礎完成レッスン』を参照しています。社労士24本当に分かりやすいです…(´;ω;`)
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